さようなら 下へ
5投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー 24/10/06(日) 13時40分12秒
僕はこの挙を少しも悔ゐず唯十全の満足の中にある。 秋子も亦同様。
山荘の夜は一時を過ぎた。 雨がひどく降ってゐる。
私達は長い路を歩いたので濡れそぼちながら 最後のいとなみをしてゐる。
森厳だとか悲壮だとかいへばいへる光景だが、 実際私たちは戯れつゝある二人の小児に等しい。
愛の前に死がかくまで無力なものだとは此瞬間まで思はなかった。
恐らく私達の死骸は腐乱して発見されるだらう。

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